地域連携研究
新生産システムと森林プロジェクト 循環型社会に適合した森林資源の利活用システムの再生
高知県は全国有数の森林県であり、森林面積率84%は全国一であり、人工林率も民有林で63%。 国有林で73%と極めて高く、かつては林業・林産業は高知県の基幹産業でありました。これらの人工 林は成熟期を迎えつつあり、資源として利用価値は今後一層高まると予測できます。しかし、木材 の自給率が低下するにつれて産業としての活力は弱まりつつあり、森林管理意欲が低下すること によって、将来の資産価値を損なうことも危惧されます。そもそも、森林管理を担う労働力は中山 間の住民や、IターンやJターンによって参入した人々です。彼らの居住地である里山は農業に よっても生活の糧を得ていますが、安価な輸入品によって経済性の低下が見られ、里山そのものさ えも十分に管理されない事態に陥っています。具体的には、放置された農地、竹林、そしてスギ・ ヒノキ林が存在し、手入れ不足による荒廃が進んでいます。さらに、管理が手薄となった場所は鳥 獣の隠れ家となり、農業地での被害を誘発しています。一方、川下に向かって見ると、立木の伐採 から木材製品の製造に至る工程において歩留まりが低く廃棄物として処理される資源が多く、 消費者からのニーズに対応し、資源を無駄なく使い切る生産システムのロジスティックスが欠け ているといわざるをえません。すなわち、森林から住宅建設などで木材を、あるいは様々な林産物や農産物を提供する までの流通を含めた一貫した理念が求められているのではないでしょうか。 そこで、この現状を打開するために、林業としての産業基盤を強化するとともに、多彩な資源を有する里山においても産業基盤を再生し、森林が持つ資産価値を一層高めるための政策提案、科学的根拠の提示および技術開発を推進していきます。 このプロジェクトの推進によって、地球温暖化防止に対応してカーボンニュートラルとされ、CO2削減効果が高いバイオマス資源の高度な利活用へとつながり、地産地消・循環型社会を目指す地域での具体的な取り組みに対して技術的な根拠を提供し、 高齢化社会における知識活用型の産業が創出できる、ことを最終の目標としています。
路網を活用した森林整備 間伐推進と課題
戦後植栽されたスギヒノキの人工林は、木材で得られる収入が少なくなったことから放置されていることが多くなっています。 その結果、本来ならば間伐され、より太い木材に仕上げられていく仕事がなされないままになっています。 このことは林業としての問題だけでなく、土壌の流亡や土砂災害の原因ともなりかねない状況にあります。 そもそも、林業の経済性は立木1本あたりの材積が大きくなるにつれて高まっていきます。特に直径40cmまでの 立木については、間伐作業で用いられる規模のプロセッサーがそのまま使えますので、飛躍的に向上していきます。 もっとも40cm以上の太さの木については、作業方法を変えなければなりませんが、そのような立木は多少手間を かけても十分採算はとれます。目標はこのような大径の高齢林を育てていくことです。欧米の森林は、このような立木 で構成されています。そして、若齢から高齢までの森林が一様に整備されています。このような豊かな森林資源を育てて いくためにも、森林に人の手を加える必要があります。高知県には全国から注目される取組みが 多くあります。経済的な搬出の努力や災害に強い道作りにも先駆的な取組みがなされています。こういった取組みが全国に広がる ための研究を地域の林業関係者・試験研究機関と共に進めています。
バイオマス 木質バイオマスの収穫と利用
石油などの化石燃料は輸送効率が高く、経済的であるため、世界中で利用されています。しかし、二酸化炭素の排出量も 多く回収されるには非常に長い年月が必要です。一方、木質バイオマスは数十年で大気中から二酸化炭素を回収して再利用 される資源です。このエネルギーを活用するための取組みが進んでいます。高知県は木質バイオマスをハウス園芸の燃料として 利用する事業を推進しています。この試みと協調して木質バイオマスの収穫・加工・利用・輸送について研究を進めています。 この研究では、経済的に利用可能な資源量の把握についても取組んでいます。
拡大する竹林を資源として有効活用 香川県での竹林拡大
大量に輸入される安価な製品に対抗できなくなり、荒廃する資源が多くあります。竹林もその一つです。 モウソウチクは斜面を登るように広がっています。高知県春野町ではそのような竹を地域住民との連携で 整備しようとする取組みがありました。また、徳島県阿南市を含めた一帯では、バイオマスタウン構想に 基づいた取組みが進んでいます。経済的に実行可能な搬出方法を確立し、安定供給できる資源量を確保する 必要があります。そして、材料に見合った生産規模で製品化を進めることとなります。研究室には平成16 年度から3年間文部科学省の科学研究費によって、資源量の把握と伐採搬出の新技術開発に挑戦してきました。
GISの利活用 市民・行政・研究者が作るコンピュータ地図
GISを普及し、有効に活用するための試験を平成12年度から国土交通省が中心となって進められてきました。 その後、市町村でもGISを業務に活用しようとする取組みが始まってきました。しかし、市民がこのような仕組みを 活用できる状況にはまだありません。コンピュータやインターネットが普及してきましたが、地図を暮らしに活かす 環境はまだ整っていません。地図は本屋で買うか、インターネットで見るだけです。市民が地図を使って情報を発信する ところにまで至っていません。そこで、便利な地図を市民の手で作っていこうという試みを始めています。市町村にも 応援団として支援させていただこうとしています。現在は、森林組合の森林管理に活用できるデータ整備に貢献しようと しています。
地域との連携・協働研究を今後も展開していきます。ご協力とご支援をお願いします。

研究活動報告


◆官との連携◆

◆民との連携◆
◆森林科学科内連携◆
◆学部・高知大学内連携◆
◆学との連携◆